特に入院前の現実逃避シリーズパート2。ゴールデンウィークだったので天気も良いので海の中道に行く。

地元の間では「うみなか」と呼ばれる巨大な公園だ。福岡市東区にある国営公園で正式名称は海の中道海浜公園(通称:うみなか)。
天気もまあまあ。渋滞も無くてあっというまに到着した。
ワンタッチテントも持って行ったので、芝生で何か美味しいものでも食べながらピクニックでもして今日も現実から逃れる算段である。
ゲートから芝生の大広場の入り口に到着すると、色とりどりに彩色された多くの鮮やかなキッチンカーが整列していた。
お客さんもちらほらと並んでいるが自粛ムードの為、出足は低調に見える。みんなどこにいるんだろう。
毎年、ゴールデンウィークのこの時期の大芝生広場は、キッチンカーがたくさん集まって多くの客で賑わっている。例年、と言ってももはや去年(2020年)では無くて一昨年2019年以前だと一台のキッチンカーの標準的な行列は約30~50人は普通に並ぶ羽目になる。
今年はコロナの影響でとても人が少ない。例年なら買うまでに30分は行列に並ぶ必要がある「焼きそば」もあっという間に(と言っても10分は並ぶ)購入の順番が回って来た。
普段こういうキッチンカーでは食べ物を買ったりしない。フードコートよりは3割は高い。
屋台の業者がプレミア価格で提供している理由はそれぞれ事情があるのだろう。
価格が高いのはまだ許せるが、提供時間が遅いのはあまり好きではない。
結局、キッチンカーで食べ物を数点買うだけで1時間はかかるのだ。
炎天下の中、真夏のアスファルトに迷い出たミミズみたいにじりじりと陽光に焼かれながら安くもない「やきそば」と「たこ焼き」と「焼き鳥」と「串ステーキ」を買い求めるのが僕には耐えがたい苦行に思える。
だけれども。今日は違った。
例年とキッチンカーの数はほぼ同じなのにお客の数が1/5ぐらいだった。並ぶ時間も僕の許容範囲だ。

このころはもう「がん保険」である程度まとまったお金が貰えることも判っていたので、若干財布の紐が緩くなっていた。
今日は買ってもいいかという気分になって結構な量を購入してしまう。
今となっては正しい選択だったと思う。術後の今だとそういう気分に「まったく」ならないからだ。
胃を全部取ってしまう・・・
最後にお腹いっぱい食べておきたい。
単純な理屈なんだろうなあと思う。でこのように大量に購入した。

と言っても4,000円ぐらいだ。ウチではまあまあな買い物。あきらかに余計に買ってしまったものもある。後悔はしない。おそらく二度とこんなに買うことは無いだろう。死ぬまで無い。胃袋がもし医学の発達で僕の中に復活したらその限りではないけれど。
残された時間(と言っても余命宣告を受けたわけでは無い)はあまりないのに、思いつくのは食べることばかりで笑うしかない。
これから起きるであろう非現実的な出来事を前に最後に日常的な楽しみを味わっておこうという意識が強いのだろう。もしくは現実逃避か・・
食べた後はカンガルーを見た。彼らにはみんな胃袋があって、これからもそれは無くならないのだ。

話は前日に戻るけれど、
今日のプチ旅行、朝に完全な思いつきで妻に提案した話だった。
妻に「今日天気が良かったら"うみなか"に行きたいんだけど」と言ってみたところ快諾してくれた。
以前だと、このような無謀な提案をしたときは
「ねえ。そういうのは前日の夜には言っておいて欲しいんだけど」と良く言われたものだ。気を使ってくれているのはさすがに鈍い僕でも判る。申し訳ない。どこかで埋め合わせたい。
今日は疲れたのでここまでとします。
皆さんお体には気をつけてください。